飲酒やギャンブル、買い物などの行為は「気持ちが良い」「嫌なことから解放される」などといった快感が伴います。快感を伴う物質や行動は「脳内報酬系」という神経回路を活発化させますが、この状態が常に続くとちょっとした脳の刺激によって「その物質を使いたい」「その行為をまたやりたい」という欲動がおきてくるようになってしまいます。
言い換えると「脳が自動的に物質や行為を求める」わけで、もはや個人の意思の力や精神力などのコントロールは不可能となります。この強迫的な欲動は使用頻度が増えたり、使用頻度が少なくても強い刺激を得たりすることで強くなると考えられています。
時として、欲動によって引き起こされた行動の記憶は自分が本当にしたかった自分の意志に基づいた行動にとって代わり脳の中で自動的に正当化されてしまいます。自分のしたかったことが、依存物質を使う事にすり替わってしまうのです。これは恐ろしい事です。本人にとっても最初は不可解ですが、だんだんと当然の事となり、依存なしでは生きる事が困難にさえ感じていきます。依存症とはつまり、このような脳の病気です。